研究内容

私達の研究室では,現在,絶縁性の磁性体を主な研究対象としています.このような磁性体は,磁性原子に局在する電子のスピンが量子力学的相互作用である交換相互作用によって結合したスピンの集団(スピン系)として記述されます.従来の多くの絶縁性磁性体の性質は,スピンを古典的なベクトルのように考えても説明できる場合が多くあります.これに対して,スピンを古典的なベクトルとしては説明ができないような顕著な量子効果を示すスピン系を量子スピン系と呼んでいます.この量子効果はスピン系のもつ量子揺らぎによるものです.量子スピン系では多体効果と量子効果によって興味深い現象が見られます.最近の30年間を見ますと,実験面で新奇な磁性を示す新物質の開拓が精力的になされ,また,理論面では場の理論的アプローチや高精度の数値計算技術の発展で,量子スピン系の研究に新展開がもたらされています.その中には私達が中心となり,端緒を開いたテーマが幾つかあります.以下に私達の主な研究テーマを述べます.

私達の研究室では,実験試料すなわち結晶を自ら作成し,物質の磁性を様々な実験手段(磁気測定,比熱測定,低高磁場でのESR,強磁場磁化過程,中性子散乱など)で調べることを基本方針にしています.強磁場実験や中性子散乱のように,私達の研究室ではできない実験がありますので,共同利用施設の実験装置を利用する他,内外の研究機関と共同研究も積極的に行っています.また,「新しい物理は新しい物質から生まれる.新しい物質には新しい物理がある.」という信念のもとに,磁性体を中心とした新物質開拓に力を入れています.以下に述べる研究は私達が独自に発掘したものや,初めて合成した物質が主な対象です.

また私達が作成した試料の写真も 公開 しています.ぜひご覧ください.